戴震と中国近代哲学

戴震と中国近代哲学

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出版社
知泉書館
著者名
石井剛
価格
7,480円(本体6,800円+税)
発行年月
2014年1月
判型
A5
ISBN
9784862851697

清代考証学の集大成者戴震はカントと同じ1724年に生まれた。20世紀に入り西洋の影響を受けて中国固有の知の体系は急速に再編され,戴震は中国近代哲学の萌芽的存在として注目される。彼は経学者でとりわけ算学や音韻訓詁学に長じていた。当時は文献学的実証研究の考証学が学術史上で最も隆盛な時代であった。そこでなぜ〈戴震の哲学〉が強い影響力を持ち得たのか。そこには中国における哲学をどう理解し構想するかという実践的課題が凝縮していた。
清代末期から民国初期に〈戴震の哲学〉が中国の近代哲学を語る上で最も哲学的なテキストであり中心的トピックになったのはなぜか。さらには〈戴震の哲学〉構築のプロセスで捨象された様々な知の中にこそ,開かれた可能性の種子があったのではないか。ここに著者の主要な関心がある。
Ⅰ部では1900年前後の王国維や梁啓超の哲学観と,民族革命の理論的支柱である章炳麟と劉師培の戴震像を通して,〈戴震の哲学〉の確立以前の戴震論を考察する。
Ⅱ部では梁啓超と胡適が新文化運動を背景に確立した〈戴震の哲学〉像の特徴を分析し,同時に彼の哲学の内在的論理を抽出して,戴震の思想が西洋の影響なしにはあり得なかったことを明らかにする。
Ⅲ部では劉師培の歴史哲学構想と章炳麟の政治哲学・言語哲学が,戴震をはじめ清代漢学からの栄養により形成されたことが示される。ここに中国近代哲学の実相を解明する。

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