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本巻は、ハイドン(1732-1809)のピアノ・ソナタ全集新版全4巻の最終巻。後期の名曲がそろっている。1783年以降に成立した10曲のソナタを収録。この時期の作品は、1780年代のモーツァルトのソナタと並び、ウィーン古典派クラヴィーア様式の模範とみなすことができる。モーツァルトが3楽章制の規範をほぼ順守していたのに対し、ハイドンは、楽章の数や順序に飽くなき実験を続け、特にHob.XVI:50と52の「大」ソナタは、ハイドンの多様な個性を象徴するものとして内容・技術ともにひとつの高みを示していると言えるだろう。
本全集は、2009年の没後200年を機に、1970年代に出版されたランドン校訂の旧版を底本としその間に進展した研究成果や新資料を基に改訂されたもの。新版の特長は次のとおり。①楽譜を全面的に浄書し直した。②ホーボーケン番号に準拠した。③ハイドン特有の装飾法、カデンツァについて詳細で実用的な演奏例を掲載した。④校訂報告を掲載した。
ハイドンのソナタは近年、ピアノ学習者のレッスン曲としてのみならず、多くのピアニストの重要なレパートリーとなりつつあり、今までモーツァルトやベートーヴェンの陰に隠れていたハイドンのソナタに、改めて光があてられている。
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