北極圏から南に数百キロ、湖に浮かぶわずか人口三千人の小さな島に建てられたセイナッツァロの役場(フィンランド・セイナッツァロ/1952)と、彼の地に魅入られたアアルト自身の別荘である夏の家(1953)。戦後の第一作にして生涯の傑作とされる公共施設とユニークな実験住宅。自然にとけこむプランからインテリアまでを、豊富な写真と建築家の転機をふまえた解説で紹介する。
アルヴァ・アアルト (1898-1976)フィンランドが生んだ近代建築の世界的な建築家。建築、都市計画から家具、テーブルウエアなどの生活用具までそのデザイン領域は多彩。独立当初は新古典主義の作風であったが、パイミオのサナトリウム(1928)で北欧のモダニズムの旗手として登場する。木や竹やレンガの使用、うねる壁面や天井などモダニズムをより柔らかく表現した作風でアアルト独自のスタイルをつくる。マイレア邸、セイナッツァロ役場、ヘルシンキ工科大学、フィンランディアホールなど大小さまざまな建築がフィンランド全土に建つ。
*オールカラー
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