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2013年1月、史上最高齢75歳での芥川賞受賞作『abさんご』が大きな話題となった黒田夏子さん。彼女が作家を志したのは20代の頃。世に出るまでの間に書き溜めた作品が幾つかありました。中でもご本人が自信作と語るのが、この『感受体のおどり』。今回、全面的に手を入れたうえで満を持して受賞第一作として発表します。
黒田さんは執筆と並行して、少女時代から日本舞踊に打ち込んできました。その踊りの世界を背景に、数十人の登場人物がドラマを織りなします。軸となるのは語り手の「私」が師匠である「月白」に向けるひたむきな恋。
もっとも登場人物たちの性別は一切明かされず、全文横書き、ひらがなを多用、といった独特のスタイルは、『abさんご』と共通します。
また、短い断章が連ねられながら恋愛模様が描かれていく様は『源氏物語』を、あるいは記憶の地層が掘り起こされていく様は、マルセル・プルーストの『失われた時を求めて』をどこか想起させます。
大河ロマンでもあり、究極の実験小説でもある異色の傑作です。
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