銀杏葉のたそがれる道

銀杏葉のたそがれる道

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出版社
文藝春秋企画出版部
著者名
尾辻紀子
価格
1,540円(本体1,400円+税)
発行年月
2013年11月
判型
B6
ISBN
9784160087903

……入学して六ヵ月がたち、いよいよ白衣を着て臨床実習に出る前にキャッピング(載帽式)が行なわれた。

一年生はロッカー室で私服を脱ぎ、真新しい白衣に手を通した。白衣についている糊の粉末が飛び散り、曇りガラス越しに差し込む朝日に粒子がキラキラ光る。初めて手を通す白衣は糊が効きすぎていて、ガバガバして体に馴染まない。

「案山子(かかし)みたい」

明子は鏡に映る姿を見てつぶやいた。

……若竹寮を出ると、黄色く色づいた銀杏葉が風に吹かれて飛んでくる。(本文より)

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