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「日本人の道徳は失われた」は真実か?
戦前の各種資料を素材に道徳問題の背景と本質を考察、
社会を見るもう一つの視座を提示。
戦前の日本では、家庭で厳しいしつけがなされ、学校で修身が教えられ、みんなが高い道徳心を身に付けていた。しかし、戦後そうした美徳が失われ、今や日本人のマナー・モラルは完全に崩壊してしまった」
今日の日本で、道徳に反するような事件や出来事が起きるたびに、こうした言葉があちこちで聞かれます。ジャーナリスト、作家、政治家など、さまざまな立場の人が、あたかも常識であるかのごとく昔を美化し、今を否定する論理を展開します。これに疑問を呈する声はあまり聞かれません。
しかし、多くの人が信じているこの言説は、実はまったくの誤解だったと言えます。本書は、こうした「常識」の誤りを明らかにし、戦前の日本人の道徳はいかなる状態だったのか、あまり知られていない歴史の側面を当時の新聞や書籍、統計データなどの資料をひもときながら紹介していきます。
たとえば、列車の中で高齢者らに席を譲らない若者、車内で化粧をする女性、道路や公園にゴミを捨てていく人、偽造したラベルを貼り付けた食品を売る商人、子どもを虐待する親、老いた親を虐待する子ども……。今日、日本人の道徳低下の事例として取り上げられるこうした振る舞いは、実は戦前の日本にも当たり前のように存在していたのです。
本書では、上記のような事例を中心に具体的な考察を展開しています。ただし、一概に「昔の日本人は道徳心が欠如していた」ということを主張するものではありません。道徳の問題には、その当時の時代背景や社会システムなどさまざまな要素が絡んでいますので、今日の基準で単純に良し悪しを判断できるものではありません。この点を踏まえたうえで、本書はより客観的な視点から道徳問題の本質に迫っていきます。さらに、今日起きているさまざまな社会問題をどう捉えるべきかについても、一つの視座を提示します。(おおくら・ゆきひろ)
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