取り寄せ不可
ポルトガルのノーベル賞作家、ジョゼ・サラマーゴによる、みずからの少年時代の回想録。
圧倒的な言葉の奔流で紡がれる長大な物語――それこそが「現代の語り部」サラマーゴのスタイルである。
しかし本書では、一転、そのはげしさは影をひそめ、ポルトガルの庶民生活の丹念な描写を通して、おだやかでやさしい、ときにはユーモラスな語り口で、幼なかったころの日々がつづられてゆく。
読みすすむうち、語り手の年齢も自分の年齢も消え、読者は、こども時代へとさかのぼる。いつしか手のなかに、小さいころ、道ばたで拾いあげた小石の感触すらもどってきそうな、小粒ながら、不思議な、知的で、品格のある魅力的な一冊だ。
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