出版社よりお取り寄せ(通常3日~20日で出荷)
※20日以内での商品確保が難しい場合、キャンセルさせて頂きます
「私は差別しない」と思っているほうが、たぶん楽だろう。
私は差別しないのだから、差別は他人の問題だ。自分と関係ないのに、差別のような重たいテーマに取り組む理由がない。単なる傍観者になろうというわけではない。いざとなれば私は差別に反対する。
ただ、日頃から差別のことばかり考えてはいられない。 それに、差別はよくないが、人間社会から差別が簡単になくなるとも思えない。みんな同じだなんてありえない。差別はよくないが、区別は必要だ。みんな自分で努力して這い上がっていかなくてはならないんだし、努力が報われない平等社会なんて、却って不自然だ。
だから差別、差別と言っているよりも、もっと前向きになって、努力して自分を鍛えて、区別を乗り越えていけばいいんだ――こういう風潮が社会を覆っていれば、悪質な差別がひそかに隙間に入り込むのは容易なことだろう。差別に抗するエネルギーが奪われてしまうからだ。
たしかに、ほとんどの人は積極的に差別をすることはないだろう。しかし、他人の差別が自分の問題ではない以上、理不尽な差別が行われたときに、本当に「ノー!」と声を上げることができるだろうか。
目の前の「小さな差別」――被害者にとって決して小さくはないが――に目をふさぎ、声を上げない社会は、より大きな差別が起きたときに、断固として「ノー!」と言えるだろうか。
よく利用するジャンルを設定できます。
「+」ボタンからジャンル(検索条件)を絞って検索してください。
表示の並び替えができます。