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国家刑罰論の本質を思想史的な背景から鋭利に描きだすヤコブス刑罰論の翻訳。付録として、講演「どのようにそして何を刑法は保護するのか?」の翻訳と原文も掲載。訳者による解説文も充実。研究者、実務家その他刑法にたずさわる全ての者にとって必読の書。『法的強制と人格性』と対をなす翻訳シリーズ第2弾!堂々の刊行。
おそらくここで想定されていることは,本書に収録されている刑法の保護目的に関する小論〔本書87頁以下〕を参照することによってより明らかになるであろう。すなわち,規範妥当は,他の「法益」とは異なる刑法益(Strafrechtsgut)である。しかしそのことによって規範の正当性については何も述べられていないが,法益においても,再び流布している理解に反して,このことに何ら変わりはないのである。なぜならば,規範におけるのと─これは認めなければならないが!─同じように法益における純粋にリベラルな内容など存在しないからである。社会的な行動の形式に関する概念と正当な政策(政治)に関する概念は二つの異なったもの(zweierlei)である。
今日一般に犯罪行為として定義されている何人かの者,すなわち国際法上または国内法化された国際刑法による有罪判決を受けた者の多くは,社会の内部の現実の(!)コミュニケーション的文脈には置かれていない。これらの事例においては通常,ある法秩序の現実の維持ではなく,この現実の創出(Herstellung)が問題となっているのである。このことはおそらく正当化されうるかもしれないが,しかし,広く誤認されているように,国家における刑罰が正当化されるのと同じ態様で正当化されるわけではないのである。本書の最後において,この問題については,ごく短く指摘するにとどまっているが,その解決のためにはまずは問題意識を喚起することが必要であろう。
(本書より引用)
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