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プロイセンの思想家で「北方の博士」と呼ばれたJ・G・ハーマン(1730-88)は,ドイツ文学史や精神史において「疾風怒濤やロマン派の先駆者」,「難渋な文体」で啓蒙主義を批判した神学的な非合理主義者といったレッテルを貼られてきた。反面,ゲーテの「その時代で最も頭脳明晰な人物」という言葉に象徴されるように,ロマン主義への影響とともに,カントをはじめとする当時の啓蒙主義者たちには大きな刺激となり,彼の弟子であり友人でもあったヘルダーをはじめシュレーゲル,シェリング,グリム,キェルケゴールからディルタイ,ハイデガー,ベンヤミンなど今日まで広範な知識人にさまざまな影響を与えてきた。
ハーマンの思索の鍵概念「へりくだり」とは「上から下へと降りてくる」が原義である。それは神が人間イエスとなって人間へとへりくだり,人々が理解しうる聖書の言葉を生み出した。彼は「へりくだり」の思想を神学的概念や信仰告白にとどめず,それが著者と読者との関係のアナロジーとしてコミュニケーションを支えていると考えた。
著作家ハーマンは内面において「文人」または「愛言者(文献学者)」の召命を受けたという自覚のもとに「ことば」を武器にコミュニケーション活動を行ったのである。
著者はハーマンの言語と文体についての研究史を踏まえて,言語起源論をはじめ音声言語と文字言語の関係,翻訳や書簡のもつ意味を解明して,「へりくだり」の思想の成り立ちと展開,さらにその構造を明らかにする。
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