1979年に暗殺された朴大統領について、日本で紹介されている本では
功績を讃えたものが多いが、本書は、いま、ふたたび韓国社会の中で
台頭しつつある朴正煕体制を左派・市民運動の立場から改めて非常に
高い質で論を展開した本である。朴正煕によって弾圧された民主化運動
の中心的な学者であり、韓国市民社会でもっとも著名な著者に
よる本書は、2010年の出版後、韓国では増刷を重ね、高い評価を
受けており、日本社会でも現在の韓国社会の政治情勢を理解する上で、
非常に有益な手引き・理論書となるだろう。
◎背景◎
韓国では、2012年12月に大統領選挙がある。
そこに、朴槿恵(パククネ)が立候補を表明している。彼女は、韓国で
いまだに絶大な人気を有し、日本との関係が大変に深い朴正煕
(パクチョンヒ:1917~1979年)元大統領の長女として有力視
されている。
朴正煕は、第5~9代(在任:1963年-1979年)もの長期にわたり
大統領を務めたが、その統治は開発・軍事独裁として知られ、
反共・保守の立場からは、「熱狂的な支持者」と賞される一方で、
市民(運動)の立場からは民主化を抑圧したとして「猛烈な反対者」
も生んだ。
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