ピアニストのノート

講談社選書メチエ

ピアニストのノート

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出版社
講談社
著者名
ヴァレリー・アファナシエフ , 大野英士
価格
1,980円(本体1,800円+税)
発行年月
2012年12月
判型
B6
ISBN
9784062585439

音楽とはなにか? 音楽をえんそうするというとはどういうことか? 沈黙と時間と音楽と、どのような関係を結ぶのか? 人間と音楽は、どのような関係を結ぶのか?

質問:あなたは翡翠で楮(こうぞ)の葉を彫刻した男のことをお話になっています。この作品が完成すると人々はそれを本物の葉と区別することができなくなりました。「演奏家の手によって、楽譜に書かれた音符が実際の音になる。この両者の変化には、どこか違いがあるのだろうか?」あなたはこの質問にどうお答えになりますか?

答え:岩壁にきざまれた仏典にならって、譜面を石の塊に刻むこともできるかもしれませんね。ピアニストは、これとは別の演奏=解釈の段階に至ります。絶えず音符を解読し、それらの音符の彼方へ行き、再び音符に戻ってきます。解釈=演奏の射程の方がはるかに大きいのです。というのも、音符の彼方への旅をする過程で、演奏家は自分自身の過去および人類全体の過去を訪れるからです。それだけでなく、遠い未来に冒険しなければならない場合さえ出てくるでしょう亜。しかしながら、演奏家が何をしようとも、音符から離れることはできませんし、繋がれ、音符に釘付けされたままです。この点においては、何にも繋がれていない、作曲の方法にすら繋がれていない作曲家とは異なっています。いざとなれば作曲家は、作曲の法則を自分で変更することもできるのですから。作曲家の人生(あるいは紙)だけが、彼のほとばしる創造の勢いを変更したり、切り詰めたりすることができるのです。

【本書においてめぐらせられる思考】
創造者=作曲家と解釈者=演奏家の違いについて
楽譜と演奏者の関係について
現代の芸術、および芸術家の堕落について
シューベルト最晩年のピアノソナタについて
愛・死など著者の個人的な生と音楽の関わりについて

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