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多彩で魅力的な顔触れが続々登場する。
三年連続で来日して話題となったブラジルの鬼才、エグベルト・ジスモンチ。マスコミ嫌いで有名な彼が半生を語った30分にわたる電話インタビューは圧巻だ。同じくブラジルからブラジル・ポピュラー音楽の重鎮カエターノ・ヴェローゾ、ブラジリアン・ロックの女王ヒタ・リー。隣国アルゼンチンからは、B・B・キングらに絶賛されたブルース・ギタリストのパッポ、ジョージ・ベンソンが惚れ込んだギタリストのルイス・サリーナス。本場ジャマイカでレゲエ・ファンを唸らせたバイアーノ。キューバからは国民的歌手のシルビオ・ロドリゲス。そのほかにも、世界の有名アーティストから尊敬されるミュージシャンズ・ミュージシャン揃い。
スペイン語ロックの牽引役となったアルゼンチン・ロックも見逃せない。チャーリー・ガルシア、ルイス・アルベルト・スピネッタ、フィト・パエスら立役者が大集合。70年代から80年代前半にかけて、軍事政権による弾圧に屈することなく、命がけで活動を続けた彼らの言葉は重い。タンゴとフォルクローレだけがアルゼンチン音楽ではないのだ。
アルゼンチンの音楽関係者の話によると、同国のミュージシャンのCD売上の二分の一(三分の二という説もある)は日本に依存しているという。ネットショップの充実で輸入盤CDが以前より楽に入手できるようになり、ラジオ番組等でラテン音楽が取り上げられる機会も着実に増えている。なのに、日本語で得られる情報は限られ、一部の音楽雑誌でしか紹介されていない。ボサノヴァやMPB(ブラジルのポピュラー音楽)などブラジル音楽はだいぶ増えてきたが、スペイン語圏のものはまだまだ少ない。そんな中で、彼らの生の声が伝わってくる本書のインタビューは大変貴重だ。
音楽にすべてを賭けてきた各ミュージシャンの生きざまには学ぶべき点が多く、人生哲学の書としても読み応えは充分。一般の読者にもぜひお勧めしたい一冊である。(訳者)
*「カンタ・エン・エスパニョール(canta en espa?ol)」=「スペイン語で歌う」の意。
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