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特捜検察の劣化が止まりません。
厚労省の元局長・村木厚子さんの冤罪事件の過程で、特捜検察による証拠改竄、「見立て」に依存した杜撰な捜査、自白を得るための強引な取り調べなどが明らかとなり、特捜検察への信頼は地に落ちました。「巨悪」を逮捕し、国民の喝采を浴びてきた特捜検察はなぜここまで劣化してしまったのか。
現役の新聞記者がその原因を探ったのが本書です。
机上の論理を振り回す頭でっかちなエリート集団になってしまったこと。情報収集能力の低下、自白を強要する強引な取り調べなど、著者は原因を次々と解明していきますが、著者の探求はそれにとどまりません。
戦後、特捜検察が手がけた、54年の造船疑獄、76年のロッキード事件、88~89年のリクルート事件、93年の金丸信巨額脱税事件、2004年の日歯連一億円闇献金事件などを取り上げながら、特捜検察という組織がどのように蝕まれていったのかを歴史的に探っていきます。すると、バブル崩壊後にすでに特捜検察には転落の兆候が表れていたことがわかります。そこで、浮かび上がってくるのは二つのキーワードです。
「起訴権の独占」と「政治的配慮」。この二つがいかに特捜検察を拘束し、その組織の病巣を形成していったのか。著者は丹念に描いていきます。
終章では、小沢一郎の政治資金規正法違反事件の真相に迫ります。特捜検察はなぜ小沢を起訴しなかったのか? 秘書は有罪で、小沢はなぜ無罪(1審)なのか? 11月に始まる予定の小沢裁判の控訴審の背景を知るための絶好の一冊です。
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