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3.11の大震災と原発事故を通して多くのしわ寄せが,弱い立場の人々や集団,地域に向けられ,様々な被害に対する責任が曖昧にされていく現実を目の当たりにした。専門を越えた研究者たちが不合理な社会のあり方と既成観念を批判し,未来を構想すべくフェミニズムの視点から討論を重ねて結晶した成果。
Ⅰ部では原発事故で食の環境が破壊された事実をミナマタに重ね,幼い命を育む母たちの苦しみと食環境をめぐる運動を考察する。次に「風俗」という性産業で働く女性が人格と性を分離して生きる実態を見つめ,フランスの買売春廃止の動きを分析しながら,風俗のない日本社会を構想する。また日中戦争下,日本軍による性暴力とその被害女性たちの聞き取りを通し,彼女らの生活環境と被害の実態を個別具体的に解明し,交流を通して発見された人間的連帯や記憶と記録についても考察する。
Ⅱ部では,周囲に適応できず発達障害と認定されるケースが,社会の変動と連動しているとの立場から,異質な人々をゆったりと包摂する社会を探究する。また自分の身を置く場をもたず,公園や駅舎の通路など公的空間を起居の場にしているホームレスの人々に対し,公的機関がひたすら排除の行為を繰り返す現実に,私たちはどのように応答すべきかが問われる。
Ⅲ部では,性差別や習慣にしばられる「生き難さ」を文学で表現してきた干刈,冥王,山﨑など女性作家が描く女性たちの今を考察。3.11以降,先端技術の高さを誇る日本社会で,政府や大企業のトップに見られる無責任体質が集団同調主義に由来し,それとの関連でわが国の宗教のあり方に光をあてる。最後に宗教倫理の視点からわが国の倫理が共同体中心主義で,相互依存的であるため責任主体が曖昧になることを明らかにする。
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