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小学校教師の妻が妊娠5ヵ月のとき、乳がんが見つかり余命1年の宣告をうける。「自分の命」を優先すべきか、「新しい命」はどうなるのか選択を迫られる夫婦。だが、日本初、リスク覚悟でうけた治療により事態は動いた。2010年12月、無事男児を出産。しかし、病魔は衰えない。肺や脳への転移。絶対に諦めない妻には、わが子に託したい〈ゆめ〉があった……。がん宣告から最期の日までの14ヵ月を、一周忌を前に夫が綴る。
結婚3年目で授かった命―。希望に胸ふくらませる小学校教師の妻が妊娠5ヵ月で受けた検査で、末期の乳がんが見つかった。医師からは、肝臓への転移も指摘され余命1年の宣告を受ける。最適な抗がん剤を投与すれば、羊水が減ってしまうリスクは避けられない。「自分の命」を優先すべきか「新しい命」はどうなるのか、究極の選択を迫られる夫婦。
だが、アメリカで報告例があった治療と出産を同時に進めるリスク覚悟の療法を、日本ではじめて受けることにより、副作用に悩まされながらも、2010年12月、無事男児を出産した。
しかし、病魔はいっこうに衰えない。さらなる肺、脳への転移と治療法をめぐり対立する妻と夫、病院と家族。それでも絶対に諦めない妻には、わが子に託したい〈ゆめ〉があった。その舞台は、小さいころから親しんだ実家近くの神社で行われる泣き相撲の土俵に長男を立たせること。2011年は9月25日に開催される。その日まで、いかなることがあっても命の火は絶やせない―。
がん宣告から最期の日まで、妻と夫と最愛の子の14ヵ月の物語を、一周忌を前に夫が綴る。
がんを宣告された日の妻の日記。2010年8月5日
「生きる証として書きます。正直、死というものをまだ受け止められない。でも、死と直面した私より残される家族が心配。残されるほうが辛いと思うから。
赤ちゃんはどうなるのかな? やっとできた赤ちゃん。泣いたから治るわけじゃない。でも、涙が出てくる。
でもでも、少しでも長く生きられるように頑張る!私の今の一番の幸せは、大好きな人たちと一緒にいることです。生きる!!」
ひとつの体に「絶望」と「希望」が宿る運命は、この日からはじまった。
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