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人は誰しも本を読む権利があり、それを保証する場所が公共図書館?
100年にわたる歴史の中で弛みなく鍛えられてきた図書館文化の真髄。
世界中の人びとに、本を通じて生きる喜びを与えてきた児童文学者リンドグレーンを生んだ国スウェーデン。本書はこの国の公共図書館の話である。
作家が生み出した本が読者に届くまでの経路にはさまざまある。書店での出合いもあるだろうし、図書館で借りて読むこともあろう。情報化の進んだ最近では、インターネット経由で本を読むこともあるかもしれない。そんななか、スウェーデンにおいて本と読者を結ぶもっとも太くて確実なパイプといえば、やはり公共図書館である。スウェーデンでは、読者と本を結び付けるために行われるさまざまな文化活動のなかに、図書館がしっかりと位置づけられている。
たとえば、スウェーデンの公共図書館では、作家を招いて講演会やワークショップを開催することがよくある。これは大きな町だけのことではない。作家たちは、人口数千人の町の図書館にも気軽に出かけていって話をして、読者と直接語り合っているのだ。
個人の置かれている社会的・経済的状況にかかわらず、「人は誰しも本を読む権利があり、それを保証する場所が公共図書館である」という考え方が、100年にわたるスウェーデンの公共図書館の歴史のなかで揺らいだことはただの一度もない。そして現在、スウェーデンでは、図書館は地域社会においてなくてはならない施設であると同時に、誰にとっても親しみのもてる場所となった。
本書を通じて、スウェーデンの公共図書館の実際の姿をお見せしながら、図書館が本を住民に届けるうえで、そして国全体の読書振興のためにいかに重要な役割を果たしているのかを考えていきたいと思う。また同時に、スウェーデンの人びとの普段着の生活と、読書をめぐるさまざまなエピソードを披露していくことにしよう。
スウェーデンの公共図書館に置かれている心地よい椅子に腰かけたつもりになって、この国の図書館と本をめぐる話をゆっくり楽しんでいただければと願う。(よしだ・ゆうこ)
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