戦中派闇市日記

小学館文庫

戦中派闇市日記

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出版社
小学館
著者名
山田風太郎
価格
806円(本体733円+税)
発行年月
2012年8月
判型
文庫
ISBN
9784094087499

医学生作家となった山田風太郎誕生の2年間

昭和22年~23年。25歳の青年は東京医学専門学校(現在の東京医科大学)で試験と実習に追われる傍ら、前年書き上げて探偵小説専門誌に投稿した『達磨峠の事件』が入選、人生の大きな転換期を迎えていた。
〈むずかしい。小説の苦しさを初めて知った(昭和22年3月30日)〉
〈新憲法施行の祝日だそうな――。冬に逆戻りしたような冷たい雨、風! ザマ見やがれッてんだ。推理小説「歯車」(仮題)構成す、『植物性神経外科』読(昭和22年5月3日)〉
〈朝、江戸川氏より明元旦午後より夜にかけ遊びに来ぬかとのハガキ来る。ひるごろ、ビヨウキエンキスルとの意の電報来る。この年末の忙しいのに乱歩さん、何をマゴマゴひとりで騒いでいるんじゃ(昭和22年12月31日)〉
探偵小説の重鎮・江戸川乱歩との交流、氏に宛てた手紙の草稿、食糧不足が続く占領下での日常、東京裁判の判決、殺到する小説執筆の依頼……青春の只中で、作家への道を歩み始めた日々と戦後日本を感性豊かに綴る。医学生・山田誠也から作家・山田風太郎へ――。混乱の渦中に記された、戦後最大の物語作家誕生の記録。『戦中派焼け跡日記』に続く、山田風太郎戦後日記シリーズ第2弾。


【編集担当からのおすすめ情報】
著者が医学生として学ぶかたわら執筆しはじめた小説が、次から次へと評価されていく昭和22~23年の2年間、731日の日記がおさめられています。江戸川乱歩氏が中心となった日本探偵作家クラブの発足など、当時の文壇の一端を窺い知る記述に加え、戦後という言葉が聞かれなくなって久しい昨今だからこそ振り返るべき65年前の日常と現実も、25歳の“新人”作家の目を通してリアルに綴られています。

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