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PR誌「未来」にて全17回にわたり連載された〈沖縄と文学批評〉を再構成して単行本化。沖縄の言説シーンの深層をこれほど強力にえぐり出し解明したウチナーンチュ自身による批評はこれまで存在しなかった。「復帰」40年を迎えてついに出現した本格的ポストコロニアル沖縄文学批評集。『オキナワ、イメージの縁(エッジ)』(未來社)、『フォトネシア』(未來社)につづく仲里効沖縄批評三部作完結!
目次
【I】 詩のゾーン
サッタルバスイ――山之口貘のアポリア
悲しき亜言語帯――川満信一の島と神話
1 吃音と根畏(ニーヤグ)み
2 国家の言葉とスマフツの舌
異化の詩学――中里友豪のイクサとキッチャキ
1 累日の果て、スーマンボースーで
2 〈アンソールムノー氏〉を探して
オールーへ――高良勉の根と巡礼
1 島と岬とオキナワンブルー
2 還る舌、たたく言葉
【II】 小説のゾーン
いとしのトットロー――目取真俊とマイナー文学
占領と性と言語のポリフォニー――東峰夫「オキナワの少年」
1 「べろやあ!」が交錯するところ
2 コロニアル・グラモフォン
旅するパナリ、パナスの夢――崎山多美のイナグ
1 声と物語の境界
2遊行する声とコトバの流紋
3 クムイとインファンティア
【III】 劇とコラムのゾーン
入れ子ダイグロシアとまなざしの壁――知念正真『人類館』
1 異化と同化の相克から内破する劇へ
2 「ふぅなあ」というオブセッション
3 乗り換える果ての荒野
されどオキナワン・トゥンタチヰー――儀間進と見果てぬ夢
【IV】 植民地のメランコリー――沖縄戦後世代の原風景
桃太郎と鬼子
翻訳的身体と境界の憂鬱
あとがき
あとがきより
本書は二つの言語、日本語と琉球諸語との言語葛藤に注目し、コトバを表現のメディアにした詩人や小説家の作品を読むことのなかから、沖縄における言表行為について論じた試みである。二つの言語がせめぎ合い、交渉と交換のなかから新たな言語地図が描かれていく。(……)“亜言語帯”とはまぎれもない両義的な場を生きることの謂いにほかならない。
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