ヨーロッパ中世の時間意識

ヨーロッパ中世の時間意識

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出版社
知泉書館
著者名
甚野尚志 , 益田朋幸
価格
6,600円(本体6,000円+税)
発行年月
2012年5月
判型
A5
ISBN
9784862851338

ヨーロッパ中世とルネサンスの社会,文化,芸術の諸相を,歴史学,美術史,哲学,文学,宗教学など多分野から横断的に共同研究することを目的とした,早稲田大学「ヨーロッパ中世・ルネサンス研究所」による研究成果である。学際的な協力がなければ研究成果が期待できないテーマの中から,未だ充分な研究がない「中世の時間意識」を選び,15名の研究者が「社会のなかの時間」「テクストの時間意識」「図像のなかの時間」の三つの視点から考察した。
自身や周囲の人々の誕生から死を通して不可逆的な時間を感じるとともに,昼夜や星の動き,月の満ち欠け,四季の変化など繰り返される時間を通して時間意識は形成される。不可逆的で直線的な時間意識と繰り返し再生する時間意識は,あらゆる文明の文芸や芸術の時間表現に見られる。
ヨーロッパではキリスト教が古代的な時間意識をどのように変容させたかが重要な問題である。ヨーロッパ世界がキリスト教化するにつれ,古代の時間意識はキリスト教の時間意識と融合し継承されていく。中世ではキリスト教会の影響下,古代における一年の暦は聖人の祝祭中心の暦に変えられ,また教会の暦は古代的な循環する自然の意識を受け継いだ。クリスマスが冬至の祭り,聖ヨハネの祝日が夏至の祭りの日に設定されたように,教会の暦は,以前の異教世界の時間意識を土台として作られていた。
本書は前近代世界の社会や文化の深層を理解するため,現実の社会の時間意識と,文学,哲学,芸術作品で表現された時間意識を多様な角度から分析した意欲的試みである。

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