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イギリスでは伝統的に自殺はself-killerと言われ文字通り自己殺人として扱われてきた。自殺者にはキリスト教式葬儀と埋葬が禁止され,土地や財産は没収,その家族にも累が及んだ。自殺大国でもあったイギリスで17世紀に入りジョン・ダンによる初の自殺擁護論『ビアタナトス』(1647年刊)が刊行され,それを発端にヒュームをはじめ哲学者や牧師,医師たちにより,擁護派と批判派による激しい自殺論争が展開された。
本書は17・18世紀の自殺論争を,擁護論,批判論,医学論の三つの系譜から検討し,〈自殺は犯罪なのか〉という問いを軸に「自己保存」についての理解を自殺論争の重要な鍵概念として,「自己」とは何か,その所有と管理権が帰属するのは神か,国家か,個人かなど多様な議論を考察する。自殺者の検視で「心神喪失」とされるケースが増えるに伴い論争は医学的領域に収斂し,さらに自殺を精神衛生の問題とみなし自殺把握,自殺防止団体の源流となる王立人道協会が設立され,その活動の実態が膨大な史料で詳細に解明される。
自殺観,生命観とモラル観の史的変容を考察し,教育学の視点から生命と教育の関連と意義を明らかにして,現代の自殺問題を考える上でも必読の文献となろう。
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