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「三つの目」で、地域を構成する多様な要素を総合的に捉えて「診断」する斬新な手法。
まちづくりの指針に役立つ実践書。
近年我が国における地域づくり、まちづくりは多種多様な展開をみせている。しかしながら、地域のあるべき方向をどのように捉えればよいのかと問われると、簡単に答えを見出すことはできない。本書は、そのような時に役立つように、地域づくり・まちづくりの方向性の「見方」「捉え方」を簡潔に紹介したものである。
本書は2006年より滋賀県立大学大学院に開講された、まちづくりの担い手育成講座「近江環人地域再生学座」の科目「地域診断法特論」のテキストの内容をもとにまとめたものである。近江環人地域再生学座は、環境先進県である滋賀県の地域特性を活かし、環境に配慮した循環型のまちづくりをコーディネートする人財(コミュニティ・アーキテクト=近江環人)を育成する講座である。大学院生と社会人が、一年間にわたりまちづくりの実践的なノウハウを共に学び合うもので、受講生の関心が最も高い講座のひとつである。
本書ではこの講座の内容をもとに、副題にあるように「鳥の目、虫の目、科学の目(=俯瞰、住民目線、客観性)」の三つの視点を併せ持った総合的な地域の診断方法を提示している。対象地域の本質的な特性を見抜く手法として「エコロジカル・プランニング」を導入し、地域を構成する様々な側面(レイヤ)―地形、生態系、気象、経済、歴史、防災対策など―を読み解くための基本知識を紹介するとともに、その読解の実践例として滋賀県での取り組みを解説する。
具体例は滋賀県ではあるが、本書で紹介する地域診断の手法は全国、全世界で実践可能なものである。近年の災害を通じて、我々は今あらためて「なぜその地域に住むのか」「本来はどこに住むべきなのか」を問われているように思う。本書に記した手法を各地のまちづくりに応用することで、本来あるべき地域の姿、暮らしの姿を見つめ直すきっかけとしていただければ幸いである。(うかい・おさむ)
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