最新農業技術畜産 ｖｏｌ．４

これまで肉用牛、とくに和牛の付加価値を高める手段は、第一に脂肪交雑(サシ)を高めることであったが、さらに最近は肉用牛の改良や生産技術の改善で、おいしさや機能性・健康価値を新たな特徴として付与し、これを活用して消費者にアピールする動きが強まっている。たとえば食肉の栄養、すなわち良質蛋白質の摂取が高齢者に不可欠であることが明らかになっている。食肉に含まれる成分には、ストレスやうつ状態の軽減につながるセロトニンの材料や、食事における満足感をもたらす至福物質としてのアナンダマイドに変換されるものもある。

【目次】
●特集　もっと牛肉を!　―おいしさ評価と健康価値でアピール―
牛肉のおいしさ評価と健康価値とアピール技術

<牛肉官能・理化学特性>
牛肉のおいしさの特徴と評価技術
理化学特性と官能特性

<牛肉の脂質、小ザシ評価>
牛肉の脂質と食味
「小ザシ」の画像解析と評価

<牛肉の香り、熟成、食感>
牛肉の香りとその成分
牛肉の熟成と肉質への影響
牛肉のかたさ(食感)とその測定方法

<牛肉の機能性成分、変色>
牛肉の機能性成分とその活用
牛肉の変色、放牧の影響

●和牛生産の歴史と今後の展開
和牛生産の歴史、現状と課題
わが国の肉用牛飼育の変遷と特徴
今後の肉用牛生産の方向
肉用牛「放牧畜産基準認証制度」

<和牛の育種をめぐって>
和牛の育種経過、現状と方向
黒毛和種の遺伝的多様性の評価と維持・回復のための方策

●和牛の代表系統とその特性
家畜改良事業団-美津照重、奥安福、福安照ほか
青森県-第一花国、第二花国、第七花姫ほか
宮城県-茂勝、茂洋、奥北茂ほか
福島県-喜多平茂、第一勝光、登美貴ほか
兵庫県-芳山土井、照忠土井、宮奥城ほか
岡山県-沢茂勝、西花8、新糸藤ほか
山口県-東平福、北乃勝関、福美美ほか
佐賀県-豊茂国、松浦誉、辰之介ほか
長崎県-幸政、二天一流、照美津ほか
大分県-寿恵福、藤平茂、隆茂38ほか
鹿児島県-金幸、忠茂勝、華春福ほか
沖縄県-北福波、勝安福3ほか

●乳牛の改良、産み分け、牧草
乳牛の遺伝的改良
雌雄産み分け技術とその利用

<飼料作物の栽培技術>
アルファルファ品種ケレスの特性と利用方法
簡易更新と表層攪拌法によるアルファルファ草地の造成(北海道根訓)

●口蹄疫の症状と観察のポイント
口蹄疫とその対応-とくに生産現場で知っておくべきこと

広島県-勝白、沖茂金波、安芸重福ほか
山口研

乳牛の改良、産み分け、牧草

口蹄疫の症状と観察のポイント