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半裸に裸足、大刀を振るって大海を荒らしまわる「荒くれ者の日本人」という倭寇像は、歴史の真実とは掛け離れている。中国人・朝鮮人・ヨーロッパ人も含んだ海民集団は、時の政治・外交に介入し、密貿易を調停し、14~16世紀の国際社会の動向を左右した。陸地中心の歴史観を超え、国境にとらわれない「海の視点」から、その実像を浮き彫りにする。
一般に「倭寇」とよばれているのは14~15世紀の倭寇と16世紀の倭寇であり、本書でもこの二つの時期の倭寇を記述の対象とした。倭寇は東アジアの沿海諸地域を舞台とした海民集団の一大運動であるが、構成員は日本人だけではなく、朝鮮人・中国人・ヨーロッパ人をふくんでいる。日本史上の問題というよりも、東アジア史あるいは世界史の問題といったほうがふさわしい。――<「はじめに」より>
※本書の原本は、1982年に教育社から、1997年にニュートンプレスから刊行されました。
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