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"16世紀の宗教改革時代はヨーロッパ近代が始まる創造的な精神に満ち溢れた稀な時代である。宗教改革の思想はエラスムスから発し,ルターに受け継がれ,カルヴァンで完成された。この思想の流れは悲惨な政治史の泥沼の深みに咲いた美しい花の果実といえる。
宗教改革は多くの偉大な神学者たちの参加により一大運動となって新しい時代を形成した。その影響は今日の日本にまで及んでいる。一般的に宗教改革は政治史の観点から扱われることが多いが,本質的にはキリスト教を根本から刷新する運動として最大の意義をもっている。とくに旧来のキリスト教義の改革を通して社会的な諸制度のみならず,究極的には宗教自身の改革と再発見をめざしたものである。
わが国の研究はルターとカルヴァンを中心に進められてきたが,今日では16世紀ヨーロッパの広大な枠組みの中で推し進める段階になっている。それにはルターから第二世代の体系家カルヴァンに至る歩みを全体として把握する必要があるが,一次資料が膨大で一研究者をもってしては不可能である。そこで宗教改革史上の重要な人物を個別的に研究した専門家による成果として分かりやすく手頃な長さの論文10編を選び一書に編んだのが本書である。従来わが国であまり知られていなかった重要な改革者をはじめ,宗教改革者の多様な活動を知るためにも格好の書である。"
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