介護施設の精神科ハンドブック

介護施設の精神科ハンドブック

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本書は、カナダ・オンタリオ州トロントにあるベイクレスト病院老年精神医学部門が中心となって編纂した「Practical Psychiatry in the Long Term Care Home」第3版を翻訳したものである。専門分野に関わらず介護施設で働く人たちを対象に、施設で起こりうるさまざまな精神医学的問題を取り上げて解説している。ベイクレスト病院ではこの本をテキストに毎年スタッフ教育が行われ、今も改訂が続けられている。
 著者らも序で述べているとおり、老年人口の増大にともない介護施設へのニーズは世界中で高まっている。わが国では65歳以上の老年人口は全体の20%を超え世界一の長寿国となっているだけでなく、核家族化に伴って家族での介護が困難となりつつあることもあり介護施設へ入所する高齢者が増加している。
 本書は、スタッフのためのハンドブックという副題のとおり、介護に直接携わるスタッフや看護師、医師だけでなく、施設の管理者や事務職員も対象に含めて書かれている。入所者の生活の質を向上させるには、直接介護に関わるスタッフだけでなく、施設を運営する職員全員の入所者に対する専門的理解が重要であることが繰り返し強調されている。内容は、精神疾患の解説、高齢者に対する薬物療法などの基礎知識から不適応行動に対する行動的介入、スタッフ教育の方法、法的な問題まで幅広くカバーしている。執筆者はいずれもその分野の一線で活躍する臨床家であり、カナダ老年精神医学会が中心となって策定した認知症や老年期うつ病の治療ガイドライン作成の中心メンバーでもある。薬物療法については、2009年の国際老年精神医学会で会長を務めたDr. Herrmannが担当しているが、臨床経験と研究に根差したその解説には経験を積んだ精神科医であっても得るところが多いと思われる。また、心理士や看護師など著者の職種が多岐にわたっているのも本書の特徴であり、高齢者介護施設が多職種で運営されることを象徴している。
 翻訳には、京都府立医科大学精神医学教室の老年期グループを中心としたメンバーがあたった。また、多くの職種の方に読んでいただきたいと考え、医学用語で理解しづらいところがないか、亀岡市地域包括支援センターあゆみセンター長、松本善則氏にアドバイスをいただいた。もし、本書の訳文が医師以外の職種の方に理解しやすいものとなっているとすれば、松本氏のご協力に負うところが大きい。今回の訳書出版が、高齢者介護施設で医療・福祉に携わる方々の日々の臨床活動の一助となり、ひいてはわが国の施設介護の質の向上に貢献することを願うものである。

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