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16世紀の戦国末期に,人口1000万にも満たない日本列島でわずか数十年の間に30万から40万の信徒を獲得し,秀吉や江戸幕府が無視できぬほどに成長したキリシタン宗団の興隆はなぜ可能だったか?
著者はこの問いに応え,日本古来の複合的多神崇拝とは異質なキリスト教の受容を可能にした,戦国末に固有な宗教土壌を宗教社会史の視点から分析するとともに,集団行動に映し出された個人の心の表現を「魂不滅論」や「こんちりさんのりやく」など一次資料を通して思想史的に明らかにすることにより,民衆の側からのキリシタン史見直しと近世史における新たな位置づけを試みた。
15世紀に中興の祖蓮如により再興された真宗本願寺派は,戦国大名に比肩する勢力を擁して全盛期を迎えていた。本書は真宗教団の活動と対比しつつキリシタン固有の展開を立体的に考察する。
両者に共通することは,下からの「信仰共同体」である〈コンフラリヤ〉や〈道場〉を組織し,領国支配を超越して全国的規模のネットワークを展開したことと,信仰対象として唯一の神デウスと阿弥陀一仏など「主神崇拝」的信仰形態という日本の宗教史上際だった特徴を示したことである。
本書は北半球の気候変動により日本や西洋を襲った飢饉や疫病など世界史的な視点をも導入し,16,17世紀のキリシタン現象がもつ歴史的射程を見事に描いて,研究史上に新たな1ページを開いた記念碑的作品である。
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