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T.Alajouanineによる論文Verbal realization in aphasiaを翻訳し、著者の失語学についての解説をまとめて一書としたものである。 本書は失語症を4つの重要な言語症状(言語常同症、失文法、音声学的解体、ジャルゴン)を取り上げ、その現象面と経過面の記述を行い、これをジャクソニズムの立場から考察したユニークな内容を含んでいる。ジャクソニズムは、人間の精神と脳を進化論的・発達学的に把握し、精神症状や脳症状を進化に対する解体として理解する考え方である。現代は脳科学の発展が著しいが、大脳皮質のみを平面的に考えるのではなく、神経系全体を進化の階層として、垂直的にイメージする思考は、生理学的にも臨床医学的にもあるいは、リハビリテーション的にも重要である。 Alajouanineの失語学では、意識やこころ、言語といった領域では単純な因果関係で決定することは不可能である。原因は1つではなく、複雑に絡まり合っている、そのことを静かに教えてくれる。
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