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人は,人生の3分の1を眠って過ごす。「寝る子は育つ」「一晩寝かせる」と昔からいわれてきたように,眠りにはさまざまな効用があることは経験的にわかっている。ヒトの大きく発達した大脳は眠ることで,覚醒時に最大限に機能し,今日の文明を作り上げてきた。眠りはより良い活動するために,疲れた脳を回復させるための,巧妙にプログラムされた生理機構である。睡眠不足では,睡眠負債という借金を背負い,さまざまな身体不調を生じる。睡眠負債を長期にわたりため込むと,人は負債に押しつぶされ病気になってしまう。24時間社会となった日本では,3人に1人が眠りにかかわる問題を抱えている。新幹線の運転士や,飛行中のパイロットが乗務中に眠りこむ,航海士の睡眠不足のために巨大タンカーが座礁して甚大な環境破壊をもたらすなど,睡眠が十分でないための事故が多発しているのが現状である。
私たちはなぜ眠るのか。2004年,琵琶湖の近くにある滋賀医科大に睡眠のメカニズムを解き明かし(睡眠科学),睡眠の病気を治療し(睡眠医学),睡眠が関係する社会問題を解決する(睡眠社会学)ための睡眠学講座がわが国で初めて開設された。講座開設から5年目を迎えた2009年から,学部教育として睡眠学概論の講義に取り組んでいる。
この本は,睡眠に関心があるが,経験が十分でない一般臨床医の先生方から,研修医,患者さんを含む睡眠に関心のある一般の方までを広く対象として,実践的な内容となるように,企画した。睡眠の役割,メカニズムをはじめとした基礎知識や睡眠衛生を理解し,非薬物的に軽度の睡眠障害に対処するための情報を含むように心がけ編集した。病気の解説にあたっては,短時間で読めるように典型的な症例に簡単な解説をつける形とした。
気楽にさっと読んでいただき,睡眠医学,睡眠科学に興味を持っていただければ幸いである。
編著者 宮崎総一郎 井上雄一
(はじめにより抜粋)
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