ブロッホと「多元的宇宙」

新潟大学人文学部研究叢書

ブロッホと「多元的宇宙」

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出版社
知泉書館
著者名
吉田治代
価格
5,940円(本体5,400円+税)
発行年月
2011年3月
判型
A5
ISBN
9784862851048

資本主義による矛盾の認識,階級差別のない自由の王国というユートピアこそ「マルクス主義哲学者」エルンスト・ブロッホ(1885-1977)の思想の核心である。
本書は第一次大戦前からロシア革命,ヴァイマル期に至る初期の思索と体験に光を当て,マルクス主義者ブロッホの視点だけでは見えてこない,若きブロッホの多岐にわたる思想的葛藤を考察する。
世界大戦を契機として,まさに「一つの地球」という意識が生まれ,人類はいかに共存していくのかが問われた。ブロッホは普遍主義か多元主義かという二者択一ではなく,状況に応じて普遍化の戦略と差異化の戦略を使い分けていく。直線的な進歩の観念を攪乱する非同時代性,個別性を知覚するとともに,他方で人間の進歩という概念を捨て去ることなく,同時に場所の差異として〈多くのもの〉のために空間を作っていこうとする「多元的な宇宙」のヴィジョンを展開する。
著者は異なる思想を選択的に受容するブロッホの類い希な「結合の能力」が,異文化との出会いから生まれる文化のダイナミズムを捉え,多元主義的志向のなかで既存の理論を見直す有効な武器であることを明らかにする。
ブロッホの思想的水脈を発掘し,今日の〈グローバルな近代〉を理解する上で知的刺激に富む一書である。

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