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高村薫氏推薦 〈彼ははたして死に値する極悪人だったのか。40年目の疑問が私たちに襲いかかる。〉
忘れられた死刑事件が、人が人を裁くことの意味を問いかける
1966年(昭和41年)、東京・国分寺市で一人の主婦が被害者となった強盗殺人事件が発生した。4日後に逮捕された22歳の犯人・長谷川武は、裁判でさしたる弁明もせず、半年後に死刑判決をうけ、5年後には刑が執行された。
その長谷川死刑囚が、独房から関係者に送っていた手紙が残されていた。とくに事件の捜査検事だった土本武司は、当時、手紙に激しく心を揺さぶられ恩赦へと動き出そうとしたほどだった。
昨年、NHK-ETV特集で放送され大反響を得た内容に、その後の継続取材で判明した新事実を積み重ねた長編ノンフィクション。裁判員裁判のもと、誰もが死刑事件と向き合う可能性があるいま、必読の一冊。講談社ノンフィクション賞受賞後第一作。
【筆者より】
死刑囚が遺した手紙から、長谷川武という一人の青年の人生を辿ってきました。命の重みを受け止めようとしなかった司法の現実が明らかになり、戦前、戦後の時代の渦の中を生きた、ひとつの家族の姿が浮かび上がってきました。(中略)裁判は法廷の中だけで判断を迫られますが、本書で見てきたように、法廷に現れる資料は万全ではありません。限られた材料で判断を下さなくてはならないという裁判の大前提、そして人が人を裁くことの不完全さを、裁く側は頭に入れておかなくてはならないと思います。
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