本書は、近年、研究者の間でその利用が広がっているフリーソフトウェアであるR統計の演習を含む専門書である。生態学や環境科学の論文から引用された実際のデータを解析しながらR統計を多様な角度から使用するものであり、これらの分野を専門とする人間にとっては格好のテキストになろう。フリーソフトウェアなので、商業ソフトウェアのSPSSなどとは異なり、大学で演習を行った通りに、卒業後も自由に使用できると言うことから、大学での統計解析学の教材としても適していると考えられる。
また、本書は、統計の初歩から、シミュレーションを多用する高度な解析まで網羅しており、それを実際に自分で試してみることができる所にもその特徴がある。R統計そのものは、GUI環境があまり発展しておらず、コンピュータ言語による計算用プログラムを実際に組んだ経験のないものにはとっつきにくいものであった。しかし、本書の解説に使用されているR統計のプログラムを、RのGUI環境であるRコマンダーのスクリプトウィンドウにペーストし、実行すれば直ちに計算結果が得られるという面もあり、いわゆるクリックアンドペーストでも実行できるようになっている。本書に沿ってこれを繰り返していくと徐々にプログラムの意味が分かってくるので、Rプログラミングが身についてくる、Rプログラミング入門書とも言える。このような特徴も本書は持っている。
【原著】Environmental and Ecological Statistics with R by Song S. Qian、Chapman & Hall/CRC
よく利用するジャンルを設定できます。
「+」ボタンからジャンル(検索条件)を絞って検索してください。
表示の並び替えができます。