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哲学とレトリックは対立的に考えられてきたが,哲学の概念自体がメタファー(転義)であるという見方に象徴されるように,最近では哲学の厳密性を考えるうえでもレトリック再考の機運が高まってきた。
ニーチェはこの問題に早くから気づき「言葉はレトリックである」と表明し,1870年代にバーゼル大学で「古代レトリック」を講じていた。その意味で本書はレトリックの哲学の現代的源泉の一つであり,ニーチェの言語論の核心につらなるものである。ニーチェは,言語は第一次的には転義的比喩であり,言論は文法にもとづく記述ではなく,語法や文法の違反をともなう文彩である。こうして彼は言語が知識ではなく臆見を伝えるとした。
18世紀末から19世紀末にかけてドイツ哲学の歴史にはディオニュソス哲学の地下水路が隠れており,その水路のさらに地下に埋もれていたのが講義草稿『古代レトリック講義』であった。この草稿を通して従来のニーチェ像はディオニュソス的科学的弁論家へと変貌しよう。
ブルーメンベルクはいみじくも「ニーチェ哲学の本質はレトリックである」と言ったが,本書が古典学者ニーチェの本領とともにその思想的方位を考えるうえで新たな示唆を与えるに違いない。
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