取り寄せ不可
調査にもとづいて数値を示すことは、説得力ある発言には欠かせないものですが、つい百年前には「調査」そのものが目新しいことでした。本書は、黎明期の貧民窟探訪、東京繁昌記、考現学などから、第一回国勢調査(一九二〇年)をへて、戦後の民主化との関係でブームとなった世論調査まで、社会調査の歴史を「方法」という観点からたどったものです。たとえば国勢調査の調査員をめぐる抱腹絶倒のエピソードから、当時のひとびとの調査に対する感受性を掘り起こしたり、観察、統計、図表化、地図、スケッチ、写真、索引など調査に必須の道具・手法のもつ意味にも目を向けて、読ませます。一貫して、具体的なモノとコトをめぐる考古学的志向にもとづいて、社会調査の歴史を考えることが「社会学」そのものであることを説得的に明らかにした、著者会心の書といえましょう。
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