出版社よりお取り寄せ(通常3日~20日で出荷)
※20日以内での商品確保が難しい場合、キャンセルさせて頂きます
モンテーニュ(1533-92)の『随想録』を日常経験との繋がりで問うとともに哲学的鉱脈を探ることにより哲学史上に位置づけた画期的業績である。
第1部「随想録の人文学的構造」では,エセーの執筆された「モンテーニュの城館」を訪れた著者が,その内部を観察してモンテーニュの日常を想起しつつエセーを吟味し,モラリスト・モンテーニュの生活と思索を明らかにする。貴族になるために一族が払った努力を背景に,幼児期の教育や母との葛藤,妻の不倫問題や相続など家族間の微妙な陰影が分析され,また宗教戦争の時代に複雑な宮廷の権力関係の中で知恵と才覚を駆使して時代を生き抜く姿を,政治の動きを通して解明する。
第2部「自然神学の弁護」では,『随想録』107篇中で最大のエセー「レーモン・スボンの弁護」を考察する。宗教改革による啓示神学の隆盛に対し,理性による信仰の可能性を探究する自然神学には疑問がもたれた。著者は懐疑論者・モンテーニュの自然神学弁護が,デカルト,パスカルなど後世に与えた影響を分析し,さらに古典物理学から現代数学や量子力学に至る先端科学と神学の関係の可能性を考察,新たな問題を提起した。
本書は脱稿後,間もなくして逝去した著者の文字通り生涯の研究を集大成した遺言の書である。
よく利用するジャンルを設定できます。
「+」ボタンからジャンル(検索条件)を絞って検索してください。
表示の並び替えができます。