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序文よりー
末梢動脈疾患(peripheral arterial diseases: PAD)は、虚血性心臓病とともに増加している。PADは、急性・慢性閉塞性疾患、閉塞性動脈硬化症(arteriosclerosis obliterans:ASO)、血管形成異常、塞栓症や血栓症からなる急性閉塞、血管損傷、糖尿病や膠原病に併発した病態等、さまざまな概念と疾患が含まれる。
わが国における一般集団のPAD罹患者の正確な把握は難しいが、ASOでは推定34~43万人、無症候性ASO患者を含めると約50~70万人いる。当然、加齢・糖尿病の合併群において有病率は増加する。PADは、日常臨床において思いがけずその合併が発見されることも多いが、軽症から四肢の切断にいたる重症虚血肢(critical limb ischemia: CLI)まで多彩な症状を有し、本来の機能を失いQOLが悪化するため、リハビリテーションや介護・ケアの診療体制構築が必須である。したがって、虚血性心臓病と同等の疾患として包括的な対応が今後の課題となる。
PADの中でのASOの捉え方は、すでに浸透したものであるが、本書ではPADの総論とASOを中心とした各論を、各専門分野の先生方に担当していただき、一般医にとって読みやすく企画した。本書が明日からの日常診療にとって役立つものとなれば幸いである。
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