石ノ森章太郎(監修)×沼正三(原作)による戦後最大の奇書『家畜人ヤプー』のコミック化第二巻を復刻(初版は1984年「辰巳出版」より)。
「日本書紀」、「古事記」に登場する天照大神の正体は未来世界からやってきた白人女性であった─日本史を覆す想像力の極地。
●あらすじ
196×年、西独逸。翌春に挙式を控えた日本人留学生・瀬部麟一郎(麟)と東独逸の名家の娘・クララは一挺の航時艇(空飛ぶ円盤)の墜落を目撃する。結婚を控えた二人の関係は、この出来事を境にまったく違うものになっていく。二人にとってこの墜落事故は悲劇の始まりなのか、それとも歓喜の祝砲なのだろうか、それはまだ、解らない─。
墜落した円盤から謎の女性・ポーリーンを救けたことをきっかけに、彼女が暮らす2000年後の未来世界、イース(EHS=The Empire of Hundred Suns)を訪れた二人。だが、イースでは二人の「恋人」という関係は成立し得ないものであった。イースは徹底した女権社会であり、白人=人間、黒人=半人間、黄色人種=家畜という明確な人種階級制の国だったのだ。二人の関係は支配者と家畜以外にありえない。
「人間」クララはその地位から、イースの高度な文化・文明を享受し、戸惑いながらも少しずつイースに馴染んでいく。一方、「家畜」麟は文化・文明の材料として、人体改造を施され、困惑を深める。逆上した麟はクララと心中をはかるも、失敗。これをきっかけについにクララは、麟を「家畜」と認識し、自らの家畜として飼うことを決意する。
ポーリーンが自分の代わりに子を宿す「子宮畜」の購入の相談のため、古代地球の航時探検家にして前地球都督アンナ・テラスを訪問するのに同行したクララ。
ポーリーン一行は歓待を受け、雪上畜に乗って黒奴狩りに興じ、子宮畜の養成機関・フジヤマ飼育所を訪れた。そこでは優秀な子宮畜候補を集めて羞恥に満ちた選定が行われる。ポーリーンの子宮畜に選ばれたのは、入所から二年半を経た優秀な候補生・カヨであった。
その道中にクララは自分の生きてきた二十世紀以降の人類の歴史を知る。第三次世界大戦、黒人の台頭、白人の宇宙移民と地球の「奪還」、そして黄色人種の退化……。荒唐無稽な未来を素直に信じられるほどにクララはすでにイースを受け入れていた。そしてさらに、アンナ・テラスから日本の神話の秘密を聞かされる。それは日本書紀・古事記に語られる日本の神々は全て白人であり、彼女こそが天照大神だという衝撃的な事実であった。
その間の全てを、クララが身に付けていたブローチを通して麟は見聞きしていた。彼の最後のプライドであった民族的自尊心は瞬く間に破壊された。にもかかわらず、彼は混乱しつつも不思議と、自然にそれを受けいれていた─。
イースの世界、真の日本史、多様なヤプーたち……。次々と衝撃の真実が明らかになる第二巻
よく利用するジャンルを設定できます。
「+」ボタンからジャンル(検索条件)を絞って検索してください。
表示の並び替えができます。