黒澤明ＭＥＭＯＲＩＡＬ　１０ 第６巻

壮大にして絢爛、世界を魅了した歴史巨編！

映画監督としての最円熟期の60代を数々の不運に見舞われ、映画製作が意のままにならなかった黒澤明。彼が十年ぶりに日本映画のメガフォンをとったのが「影武者」だった。
まさに満を持して挑んだ初のカラー時代劇だが、世界のクロサワの日本映画界再登壇は、決して満場の拍手で迎えられたわけではなかった。製作開始前の資金難、主役交代劇、評論家の酷評など、容赦ない試練が巨匠を襲う。もはや「過去の監督」というレッテルすら貼られかけた黒澤。しかし「影武者」は公開されるや大ヒットを記録し、ついにはカンヌ映画祭グランプリを受賞、それらの雑音を一掃した。
70代を迎えた黒澤は、如何にして不死鳥のように蘇ったのか。「黒澤が描いた絵巻物である」と山田洋次が評する完璧な映像美をDVDで堪能しつつ、画コンテから始まる「影武者」制作のすべての過程を、仲代達矢、野上照代らの証言で振り返る。
完成前から全世界が注視した初の日本映画「影武者」。そして今も毀誉褒貶半ばする「影武者」とはなんなのか。今一度その世界を検証し、正しく評価する時が来た！

【編集担当からのおすすめ情報】
「影武者」クランクインに漕ぎつけるまでの苦闘の時期、黒澤は膨大な画コンテを描き続けました。もし映画が実現しなくても画として「影武者」を残す、という思いで描かれたコンテは、それぞれが一幅の絵画としても鑑賞に堪える完成度です。
黒澤が遺した2000点を超える画コンテから「影武者」「乱」「夢」を中心に140点を厳選した画コンテ展「映画に捧ぐ」が本年9月4日より東京都写真美術館で開催されます。マーティン・スコセッシ個人蔵の日本初公開10点を含む必見のコレクション。画家・黒澤明の芸術性と映画への思いに触れることのできる希有な機会です。是非足をお運びください。