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ドイツ古典哲学の問題意識と理論的特質を,哲学者たちの歴史的連関および哲学的布置を通して明らかにする。
カントにおける超越論的観念論における表象の客観的実在性の根拠づけという根本的モチーフは「カントを越えて」いかに展開されたのか。ヤコービによる観念論批判の挑戦を受け,フィヒテ,シェリング,ヘルダーリン,ヘーゲルらはそれぞれに応答しつつ,表象の客観的実在性の根拠づけを人間的自我からではなく絶対者の立場から行うようになり,さらに反省による生の認識が伴う困難に対し,懐疑主義や神秘主義に陥ることなく所与の根拠づけによる学的体系あるいは導入構想により克服しようとしたことを見事に解明した。
1930年代に論理実証主義の立場からヘーゲルなどの「形而上学」が批判され,およそ「意識」や「表象」に依拠するドイツ観念論の哲学は言語論的転回の観点から「表象主義」として否認された。しかし戦後カントをはじめヘーゲル哲学の受容が行われ,今日では敵対していた大陸系哲学と英米系哲学の融合の試みがなされてきた。
本書はこのような学問的状況のなかでドイツ古典哲学の現代的意義と同時に,それ自体の固有の意味を探究することにより現代思想の位相を鮮明にした。
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