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原書は昭和47(1972)年刊。宮本常一は昭和8年から同54年の間に、離島もふくめ九州各県をあるいている。本巻には、昭和15年に訪れた宮崎県米良・椎葉村はじめ、終戦翌春以降、幾度か巡った九州の脊梁山地周辺の紀行が306枚の写真とともに綴られる。山間の地に住みつづけてきた人びとの暮らしを記しながら、石橋・水路・街道・牧場・田畑・山林など、景観に刻まれた多くのすぐれた人間の努力の歴史を丹念によみとり、「単にそこに自然があるのではない。人の手の加わった、人が未来に託する努力のこもった自然があるのである」と、進行する「開発」と山地行政のあり方を問う。
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