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日本の企業人が彼の地で出会った人びとと文化を友好の心を込めて綴る紀行
本書は、中国の長江下流に位置する江蘇省蘇州市に駐在した企業人が綴った中国生活のエッセイである。歴代の皇帝たちが憧れた江南の地である蘇州は、光溢れ風そよぐ水辺の地である。光に映えて眩く輝く川面は、渡る風に音もなく小波立って新緑の影が揺らぎ、柳葉は風に身を任せてしなやかにうねっている。著者は市内の古典庭園や近郊の風景区などを自転車で巡って、その風景に身を置いてきた。
改革開放後の中国は驚異的な経済発展を続け、日系メーカーも次々と中国各地に進出した。蘇州でも高層商業ビルや高層マンションが林立して、街の風景もあっという間に変わった。一方で、蘇州の街には2500年の長い歴史の中で培われてきた文化の香りがあちらこちらに残っており、日本ではすでに消え去ってしまった生活文化や慣習もいまだに色濃く残っている。
蘇州の人びととの出会いは、人と人との関係を大切にする中国の人びとの生き方との出会いでもあった。筆者は駐在当初より、そのような体験を「蘇州通信」と題して書き綴り、友人たちにメールで届けてきた。本書は、この内容も時期もさまざまな「蘇州通信」の各号を、テーマごとに章立てして再構成したものである。駐在を始めて出会った中国らしい光景、蘇州の四季折々の風景、蘇州の街に生きる人びとの姿、蘇州の悠久の歴史が醸しだす中国文化の香り、中国と日本の関係、蘇州で開催した子どもたちによる能楽と昆劇学校生徒とのジョイント活動など、多彩な話題を扱っている。中国を訪れたことのない方でも、読んで頂ければ蘇州の魅力に引き込まれるのではないかと思う。
2000年を超える日中関係に比べれば、筆者の4年間の滞在は一瞬のような時間である。しかし、中国での生活を通じて感じ、考えたことを記録した本書が、近くて遠い隣国との友好の積み重ねの一助になればと願っている。
(著者 深野 彰)
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