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歴史と争点を体系的に学びたい人必携、待望の決定版入門書!
市場を万能視するネオリベラリズム(ネオリベラリズム国)に駆られたグローバリゼーション。そのもとで利潤の最大化のみを追求する弱肉強食の争いがこの星全体を包み込み、人びとの生活や環境にただならぬ災禍をもたらしてきた。植民地時代から農産物等の輸出に依存するよう仕向けられてきた途上国では、人びとが価格の下落と買い叩きに呻吟してきた。さらにそこへ、先進国にとって都合のいい「貿易自由化」が押しつけられ、人びとの窮乏に拍車をかけた。
拡大する南北格差と蔓延する貧困。それを解消すべく途上国側が真に求めてきたのは、「援助ではなく貿易」だった。それもただの貿易ではない、「公正な貿易」である。その求めに応じて北の市民団体は、南の零細な生産者が作った産品を、人間らしい生活を送ることのできる価格で買い入れ、運動に共鳴する市民/消費者に販売することで支援してきた。「フェアトレード」である。
細々と始まったこの草の根活動は次第に人びとの共感を呼び、いまや一つの社会現象となって世界に広がっている。その起爆剤となったのは「フェアトレード・ラベル」の仕組みである。ラベルは狙い通りに一般の企業を引きつけ、フェアトレード市場を急成長させることに「成功」した。が、生産者に寄り添って地道に活動してきた団体にとってそれはフェアトレードの変質と映り、ラベルを警戒し、批判する声が強まっている。生産者の人びとに尊厳を取り戻すだけでなく、貿易やビジネス、経済のあり方そのものを根本から変革しようとするフェアトレード。それだけに、理念を貫きつつ、現実の社会において共感の輪を広げていくことは容易ではない。
本書は、フェアトレードの誕生と発展の経緯を跡づけるとともに、その理念や試みが私たちの経済・社会・政治の世界にどれほど広がり、浸透しているのかを検証する。また、フェアトレードに対する「右から」「左から」の批判にも耳を傾け、その課題を明らかにする。フェアトレードの軌跡、現状、課題・争点等を網羅的・体系的に把握し、巨視的な観点からフェアトレードの意味づけを試みるという意味で「学」とした次第である。
これから本格的にフェアトレードを学ぼうとする方々に入門書的に使って頂ければ幸いこの方ない。フェアトレードはなお発展途上にある。長期的視点に立てば、「新しい経済秩序」構築への長い道のりを歩み始めたばかりとも言える。本書をきっかけに、フェアトレードが「当たり前」な社会へと至る道を、読者とともに探っていきたい。(著者 渡辺 龍也)
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