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プラトンの中期対話篇で主著である『国家』については,アリストテレスによる批判以来,今日に至るまで賛否両論さまざまな見解が示されてきた。20世紀には政治の書としても読まれ,「自由主義の理念に対する最も苛烈で深刻な攻撃」であり,民主制を批判し全体主義的だとして,プラトン哲学と『国家』の反自由主義的態度が非難された。
正義とは社会秩序と各人の諸権利を守り,自由は個人の勝手な振る舞いを許容する。したがって一般的に正義と自由は相反するものである。
著者はプラトンの正義が魂の内なる秩序であることに注目し,また自由を「抑制された自由」として捉えることにより,正義と自由が必ずしも相容れないものではないことを明らかにする。さらにプラトンが初期対話篇では自由に対し否定的であったが,中期の『国家』を転換点として後期対話篇の『法律』では肯定的になっていった思想的変遷を示す。
新たな視角から『国家』に光を当て独自の見方を示すとともに,現代の自由主義理解のみを唯一,真正とする通念に問題を提起した意欲的な作品である。
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