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(編者序文より抜粋)
抗加齢医学(アンチエイジング医学)がめざしているのは生活の質(Quality of Life:QOL)の向上と健康長寿です。あらゆる科学を結集して加齢や老化のメカニズムを究明し、老化の程度と危険因子を診断し、どうすれば健康長寿を達成できるかを考え、抗加齢医療を実践します。平均寿命をみると日本は世界に誇る長寿国ですが、健康寿命との差が7から8歳ほどあります。この健康寿命と平均寿命の差をなくすことが重要です。具体的目標を提示すれば、介護のいらない高齢者をつくる、寝たきりをつくらない、認知症を予防する、癌を予防することが目的となります。
雑誌『Modern Physician』に「抗加齢医療~診断と治療の最前線」の特集が組まれたのは2006年のことです。“最前線”とタイトルにあるようにまだまだ医学的証拠(Evidence Based Medicine)が十分でない分野でありました。執筆者たちは、これまでのデータをもとにして将来の医療の方向性を提示するという使命を背負い、かなり苦労して原稿を書かれたことと思います。その勇気と開拓者精神に感謝しております。おかげさまをもちまして、抗加齢医療の特集号がたいへん好評だったということで、このたび単行本として再編集する運びとなりました。そして新分野を追加して良いとのこと、内容がさらにパワーアップされたと確信しております。
日進月歩が早い医学領域で3年前の情報(予想?)が現在でも通用し、しかも進化しつづけることは決して容易なことではありません。偶然とか、単に運が良いだけは決してないのです。日本抗加齢医学会に関わる多くの研究者、臨床家の皆様が、それぞれの領域のエキスパートであり、既存の医学データをもとに新たな領域を切り開くパイオニアであるからです。
限られた紙面ですべての情報を提供するわけにはいきませんが、抗加齢医療の現場の息吹を感じていただけたらと願っております。
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