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不都合な旅
おぼつかない水の母
海の月たちと呼び交わし
有罪性の頭頂部のあたりは夕映えて
空虚がうごく
うごいていきます
するすると眩暈のようならせんを解いて
そこかしこ
いまはもういないひとの指紋が油のように熟れ
何をしても
何をされても不思議じゃない時間
透明な毒を飲んで破れているのが路上の喩なら
ここにいてはいけない
だから意味よりも深い不安を閉じて旅に出るのだ
たぶんみずからは終われない不都合な旅
見えない壁は舌で触って
死ぬ前に姿を消した猫のマーヤは
何を拒んで
一体どんな死にめぐり逢えたことだろう
復讐だとか報復だとか
吊るされたような人間の感情なんか知らないままに
日々の許しからさえ遠ざかり・・・
壊れるためにあったものは壊れるしかなく
最初からなかったもののあるはずもなく
未盗掘の王墓の沈黙は何を待っているのか
恐ろしいまでに何もしないで?
忘れられてなお消えぬフルートの嘆息を風に預けて
もうここにはいられないと
けっしてみずからは終われない乱暴な旅に出るのだ
古びた鏡の皮をまとった欲望の
その方舟をそっと押し出すように
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