他者を認めることなく、己れの欲望のおもむくままに権利をもてあそぶ者たちを襲う、自由であることの苦しみ。コミュニケーションなき社会に蔓延する不透明な病理は克服されうるのか。『法哲学』に織りこまれた治癒と解放の論理を病める現代に再生する試み。フランクフルト学派新世代を代表する俊英がヘーゲル、そしてハーバーマスと対峙し、批判理論の新たな地平を切りひらく。
目次
日本語版への序文
I 正義論としてのヘーゲル『法哲学』
第1章 個人的自由の理念――自律の間主観的条件
第2章 『法哲学』における「法・権利」――自己実現の必然的領域
II 正義論と時代診断の関連
第3章 自由であることの苦しみ――個人的自由の病理学
第4章 苦しみからの「解放」――「人倫」の治療的意義
III 近代の規範理論としての人倫の学説
第5章 自己実現と承認――「人倫」のための条件
第6章 「人倫」の過度な制度化――ヘーゲル的アプローチの問題
訳者解説1 コミュニケーション的自由の政治思想――ホネットによるヘーゲル『法哲学』読解(大河内泰樹)
訳者解説2 ヘーゲル『法哲学要綱』とホネットの解釈(島崎隆)
訳者あとがき
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