近年のゲノム研究により、「昆虫はどのように進化してきたのか?」「翅の形や模様の多様性はどのようにして生まれるのか?」「どういうしくみで音を聴き、匂いを嗅ぐのか?」「ハエが不潔な環境でも生きていけるのはなぜか?」「害虫類はどのようにして殺虫剤への抵抗性を発達させるのか?」などの興味深い問題の答えが次々と明らかになってきている。また、ゲノム情報や遺伝子組換え技術を使い、今まで考えもつかなかったようなユニークな方法で昆虫を利用する可能性も開けてきた。その意味で、昆虫研究は今、最も刺激に富んだ時代にあるといえる。
本書で取り上げる分野は、遺伝、発生、生理といった基礎分野から、有用昆虫の利用や害虫の防除といった応用分野まで、昆虫に関する主要な研究領域を網羅している。本書を教科書や参考書として読むことにより、ポストゲノム時代の昆虫研究の全体像を俯瞰できるとともに、個々の研究成果の要点を把握できるようにした。
本書を手にとることが、若い大学生、大学院生諸氏が昆虫研究を始めるきっかけになれば、これに勝る喜びはない。(「序」より抜粋)
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