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動物はさまざまな環境に生息し、その生息環境からいろいろな情報を得ている。多くの動物にとって光は最も重要な情報源の1つであり、たとえば人間は、外界の情報の80%以上を、光を介して得ているといわれている。
本書のタイトル「見える光」とは、動物が見えたと知覚できる光、言い換えれば、視覚系でとらえられる光情報をさす。一方の「見えない光」というのは、視覚系とは関係しないところでとらえられ、見えたという感覚の生じない光という意味である。動物は視覚以外でもさまざまな場面で光の情報を利用している。本書では、こういうさまざまな光情報が、どのような細胞や器官で、どのようなメカニズムで受容され、それが行動にどう結びついているのかを、微生物から脊椎動物まで、さまざまな例をとりあげて解説している。
生物と光のもう1つのかかわりは、自身を他の動物にどう「見せるか」ということ、いわゆる体色の問題である。体色には、動物の生理状態によって頻繁に変化するものと、いったん決まったら一生変化しないものがある。
本書は、動物と光のかかわりに関する比較生物学を、特に専門的な知識をもたない方々にも理解していただけるように努力した。そのために、各章の著者には自身の研究内容にこだわることなく、それぞれの分野を広く概観した内容で執筆していただいた。本書が、これからこの分野を本格的に学ぼうと考えている学生諸君、生物の多様性に興味をもつ多くの方々の入門書となれば幸いである。
(序文より抜粋)
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