取り寄せ不可
人工知能学会の創立20周年を記念して3年前に学会の総力をあげて、共立出版より『人工知能学事典』を刊行したが、早くからその電子化版が求められていた。今回、その電子化版『デジタル人工知能学事典』が発刊の運びとなった。
これには、使用者の使い勝手のよさを考えて、工夫を凝らした電子化版にふさわしいインデックスを付けることにした。本体は「辞書」ではなく「事典」であることから、該当項目(キーワード)の説明文が様々なページに分散して書かれている。したがって複数の該当ページをめくることが頻繁に起こることになる。1、000ページを越える厚くて重たい事典の場合には、めくること自体が結構な作業になるので、その回数をできるだけ減らしたいわけである。
該当項目の左右に数語の文脈を付けたKWIC(KeyWord-In-Context)インデックスのリストを索引とする試みがある。その場合、巻末に付けた索引リストの量(インデックスのリスト量)は相当なものとなる。このKWIC付きのリストはオフラインであらかじめ作っておく。索引すべき本文のページをKWIC付のリストから選び出し、そのページをめくる作業は人が行うのである。容易に分かるように、人がページをめくるのではインデックスを電子化した意味がない。めくる作業が1、000ページを越える『人工知能学事典』では重くて大変になる。インデックスの左右に付ける文脈をもう少し長くすれば、該当項目の絞込みができるので、リストに書かれたページへのアクセスが正確になり、めくる回数も減らすことができる。
KWIC付のリストがその場で作成できれば(オンラインで作成できれば)、リストから該当項目を選んで、それをクリックするだけで、直ちにそのページへ飛んでページをめくる作業を省くことができる。これが電子化インデックスのメリットである。電子化インデックスが成功する鍵となる技術は、左右に長い文脈をもち高速なオンラインKWIC付きのリストを高速にその場で作り出す技術の開発であるといえる。このような考え方で電子化インデックスの開発に取り組んだ結果生まれたものが、『デジタル人工知能学事典』とともに今回読者にお届けする電子化インデックスなのである。
『デジタル人工知能学事典』を利用してオントロジーを自動構築しようとする試みが既に始まっている。今後、電子化インデックスと『デジタル人工知能学事典』とを活用した新たな研究が人工知能学会で生まれることを期待したい。
(序文より抜粋)
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