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写真の鬼による日本論を展開したエッセイ選! 「風貌」「筑豊の子どもたち」「古寺巡礼」等、日本を代表する写真家土門拳は達意の名文家でもある。時代と社会、芸術と文化、写真とは何かを問う土門美学の精髄。
日本と日本人へのオマージュ。
『古寺巡礼』『ヒロシマ』『筑豊のこどもたち』『室生寺』など、昭和の写真界をリードした土門拳は、達意の名文家でもある。肖像写真に添え、被写体の人間像を見事に描出した『風貌』、日本の伝統美を熱く語る『私の美学』をはじめ、時代と社会を見つめ、リアリズムを説き、写真論を展開した珠玉のエッセイ集。「一日本人としての自分自身が日本を発見するため、日本を知るため」そして人々にそれを伝えるために、生を賭した“写真の鬼”。
酒井忠康
土門拳の文章はある意味で強引である。別の意味では実直な文章であると思った。事実の測定を誤らない土門拳の眼が、紙背に光っているせいであろう。徹底したリアリズムを通した写真のそれのように、彼の文章はけっして滑らかではない。しかし、何か塗り固められて年季を刻んだものが暗示する不思議な光沢がある。だから、その魅力の一端をこうしたかたちの本にして多くの読者に提供できるのは、土門拳の世界をさらに知ってもらうとても仕合せなことだ、と私は思っている。――<「解説」より>
※本書は、『風貌』(1953年3月 アルス、1999年1月 小学館<愛蔵版>)、『私の美学』(1975年1月 駸々堂出版)、『ヒロシマ』(1958年3月 研光社)、および『土門拳全集』第5巻~第9巻、第11巻~第13巻(1984年2月~1985年11月 小学館)を底本としました。
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